仮想通貨の税金について

仮想通貨の税金について

この記事では、仮想通貨の税金に関して説明したいと思います、

ここでお話する内容は、仮想通貨で資産を増やした後の話です。
仮想通貨に関する税金はいくら掛かるのか?
確定申告の方法は?といったことに関してお伝えしていきます。

全5章に分かれていますので、順を追ってご覧ください。

仮想通貨は課税対象?

まず、最初に言っておきます。

仮想通貨で得た収入は全て「雑所得」というものに分類されます。

では、どれぐらいの税金がかかるのか?

ビットコインで買い物をすると非課税?

現在、ビットコイン決済を利用して食事や買物、サービスを受けられるお店が増えていますね。

有名な所でいえば、全国に展開する家電量販店のビッグカメラなどでしょうか。

そういったところで、自分のウォレットから決済を行うとどうなるのでしょうか?

これは、決済をした時点で「収益」という対象になります。

 

しかし、国税局からのアナウンスでは曖昧な部分もあります。
それは、仮想通貨の価格変動に関してです。

今この瞬間にも、価格が変動している仮想通貨で 買い物をすると、どのような問題が起こるのでしょうか?

 

【価格変動による影響は?】

例:10 万円で購入したビットコインが 30 万円に高騰。
この時に決済をおこなうと→「収益」扱い

例2:50 万円で購入したビットコインの価格が 30 万円に下落。
この時に決済をおこなうと→課税対象にはならないという見解があります。
しかし、それを証明するエビデンス(証拠)が必要になると予想されます。
(購入時の終値、決済時の終値といったところです。)

 

ビットコインを利用して他の通貨を購入した場合は?

ビットコインを購入し、価格が値上がりしたとします。
そこで円に変えない限りは課税対象にはなりませんが、価格が値上がりしたビットコインで他の仮想通貨を購入した場合は、課税対象になります。

対して、もしその後、購入した仮想通貨の価格が下がった場合はどうなるのでしょうか。

これは、値上がりしたビットコインと、値下がりした仮想通貨の差額が課税対象になります。

例:20 万円で購入したビットコインが 50 万円に値上がり(30 万の収益)
※この時点ではまだ課税対象ではありません※

その後、そのビットコインで購入した 50 万円分の仮想通貨が 25 万円まで値下がりした場合。
30万-25 万=5 万円の収益分の課税対象になります。

ただし、年次繰越は適応されません。
※年次繰越に関しては、後ほど説明します※

 

仮想通貨で稼いだ利益は結局、“雑所得”という扱いに

それでは、仮想通貨で儲かった資産に対して、どれだけ税金を徴収されるのでしょうか。

たとえば、5000 万円儲かったとします。

同じ投資という目線で見た場合、FX・株の場合は、20.315%という税率がしっかりと定められています。

ですので、5000 万円に対する 20.315%ですから 約1000 万が課税対象額です。

 

しかし、仮想通貨で儲けた場合・・・
仮想通貨はまだ、FX・株のように 20.315%という特別に決められた税率が定められていません。

つまり仮想通貨で稼いだ所得は、「雑所得」という扱いになります。

雑所得で 5000 万円以上のお金を稼いだ場合はなんと、多くて約 55%、2750 万円(半分以上)が課税対象額になるのです 。

※ただしこれは5000 万円稼いだ場合で、仮想通貨の税率がすべて約 55%ということではありません。後ほど詳しく説明します。

 

FXや株式、仮想通貨。
同じ投資で、稼いだ額が同じであっても、課税対象額が半分以上違うことには驚きですよね。

しかし過去、FX や株式での稼ぎも雑所得扱いでした。

20.315%の税率が施行されたのは、2012年からです。
ですから、仮想通貨も今後、そういった税制の動きがある可能性が大きいとも予想できますね。

 

簡単にまとめますと、
仮想通貨で儲けたお金は、国税局からのアナウンスで「雑所得」という扱いになり、「雑所得」の税率が適応されるということです。

 

累進税率に基づく課税率は?

ここでは、
「仮想通貨でいくら稼いだら、いくらの税金がかかるのか?」
ということを、詳しくお伝えしていこうと思います。

仮想通貨で稼いだ利益、つまり「雑所得」には累進課税が適応されます。

累進課税というのは簡単に言うと
「所得が増えれば増えるほど、払う税率も上がっていく」
と言うものです。

総合課税と分離課税

詳しい税率の話に入る前に、 総合課税と分離課税について解説します。

総合課税とは、
給与やその他の所得
(この場合仮想通貨で稼いだ「雑所得」も含まれます)
それらを合算して得た所得に対して、何%という税率がかかります。

対して分離課税とは、いくら利益を増やそうが、税率は一切変わりません。
これにはFXや株式で稼いだ利益に当てはまります。
FXや株式といった金融商品で得た収益に対して、税率は一律 20.315 です
他に所得がどれだけあろうが、この税率は一切変わらない分離課税という枠ぐ
みになります。

 

税率試算

では、所得税に対する税率がどのくらいなのか見てみましょう 。

下記の表をご覧ください

(平成27年分以降)

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円×0.23-63万6千円=97万4千円

※ 平成25年から平成49年(2037年)までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

これは国税庁のホームページに記載されているものです。

この表にかかれているパーセンテージは最大で 45%です。
これに+住民税 10%がかかります。

所得に対して+10%です。

となると、最大で 55%になりますね。

 

そして、上記の表に基づいた試算方法が下記のようになります。

仮想通貨での収益は雑所得という扱いなので、
もし会社員の場合
(給料+仮想通貨収益)×(税率%)ー(控除額)

(給料+仮想通貨収益)×(住民税 10%)
支払う税金
という計算方法になります。

 

ですので、

例:
所得税=100 万円×5% – 0 円=5 万円

住民税=100 万円×10%=10万円
税金の合計・・・15 万円

例:
所得税=600 万円×20% – 42.75 万円=77.25 万円

住民税=600 万円×10%=60万円
税金の合計・・・137.25 万円

例:
所得税=5000 万円×45% – 479.6 万円=1770.4 万円

住民税=5000 万円×10%=500 万円
税金の合計・・・2270.4 万円

上記のようになります。

何度も言っていますが、仮想通貨で稼いだお金は、全て「雑所得」という扱いです。
これは非常に重要な点ですので、覚えておいてくださいね。

したがって、FX や株式の分離課税とは違い、
利益が増えるほど請求される税金額も大きくなっていきます。
もし5000 万円以上の含み益を一括利確したら、残念なことに半分は税金で消えてしまうのです・・・

 

損益通算について

仮想通貨で稼いだ利益が、「雑所得」に分類され、累進課税で利益が増えるほど請求される税金額が大きくなることは、分かって頂けた思います。

稼いだ利益のみに税金がかかるのか?

しかし、これは“稼いだ利益”に対してすべてかかるのか?
というと、そんなことはありません。

たとえば大雑把な話、仮想通貨のみで約 5000 万円稼いだとします。

すると、
所得税=5000 万円×45% – 479.6 万円=1770.4 万円
住民税=5000 万円×10%=500 万円
税金の合計・・・2270.4 万円

2270 万円の税金を支払いする必要があります。
これは、前項で解説しましたね。

 

しかし、
仮想通貨で5000 万儲けたその後、5000 万損失した場合はどうでしょうか。
かなり大雑把ですが、残っているお金はプラマイゼロですよね。

それでも、5000 万儲けたことに対する税金の 2270 万円は、払う必要があるのか?ということです。

安心して下さい。
もちろん、支払いする必要はありません。

残っているお金がプラマイゼロになってしまったのに、
2270万円の税金を支払う必要があるなんて、とても耐えきれない話ですよね。

では、仮想通貨を売買して
プラスの収益、マイナスの損失が、支払う税金に対してどのように影響するのか?
詳しく説明します。

損益通算とは?

仮想通貨の利益に対する通算は、1 年間のトータルでどれだけの利益を出したかという見方をします。

プラスになって儲けた分と、マイナスになって損失した分を、1 年間で足し引きした合計が対象額ということになります。

例えば、10 月でビットコインの売買を行い 30 万円の損失をした。
しかし、11 月に 20 万円の利益を出した。
つまり、トータル=−10 万円 です。

このまま何もせず、年末 12/31 を超えると
今年の収益は-10 万円ということで精算されます。

この場合かかる税金は、ゼロです。

 

おなじく、10 月でビットコインの売買を行い 30 万円の損失をした。
しかし、11 月に 50 万円の利益を出した。
すると、トータル=+20 万円 ですね。

このまま何もせず、年末 12/31 を超えると
今年の収益は+20 万円ということで精算され
それに対する税率が適応されます。

 

年次持ち越しとは?

FXや株といった金融商品は、
1 年間のトータルでどれだけの利益を出したかという見方にくわえて
もし損失が出た場合、次年度にそれを持ち越すことができます。

例:2018 年の合計損益が−50 万円、2018 年の合計損益が+60 万円
持ち越し額と差し引きして、2019 年の収益は+10 万円と行くことで精算されます。

 

しかし、仮想通貨の場合は雑所得なので、
2018 年の合計損益が−10 万円だったとして、この損益を
2019 年に持ち越すことはできません・・・

2019年 1 月 1 日にリセットされ、また 0 からスタートします。

 

従って、まとめとしては
「仮想通貨の取引で赤字が出ても、1 年間の間で発生したプラスとマイナスを差し引きした額が課税対象になる」
ということです。

 

仮想通貨で儲かっても会社にバレない方法?

仮想通貨の税金に関する話と合わせて、こちらもお話しておきたいと思います。

もし収益があがったとして、勤め先にそれが知られてしまうのか?
という事に関してです。

一般的に、投資は副業としてみなされませんし、政府が副業を推奨しているように、企業によっては全く問題ないところもあります。

しかし、会社によっては、違反ではないにしろ何か言われるかもしれませんよね。
また、会社側から何か言われる、言われないにしても
「波風を立てたくない」
「できるだけ、仕事以外の収入があることを知られたくない」
という方も多いと思います。

そういった場合の申告の仕方がありますので説明しようと思います。

確定申告と住民税

一般的に、会社勤めをされている方は、会社側が代わりに申告を行ってくれるので自分で確定申告を行いません。

毎月の給料から源泉徴収を行い、適正に申告をして税金を収めてくれています。

会社が税務署に給与所得を申告することで、払うべき税金額が決まります。

そこで、源泉徴収されていた分から税金が支払われるというのが、一般的です。

それに合わせて、区役所はあなたの勤めている会社に、どれぐらいの住民税を払えばよいのかを通知してきます。

住民税とは、前年1 年間の給与、商店経営による売上げ、 アパート等の賃貸料、株式等の譲渡益などの所得に対して、その年の1 月 1 日にお住まいの市町村で課税される税金です。

ですから、会社員の方の場合は、翌年の給与と照らし合わせて、住民税をどれぐらい納めればよいのかが分かります。

 

しかし、給与以外の所得があった場合、それよりも大きい住民税の額が会社に通知されて来たら

会社側は「おかしい」となるわけです。

これによって給与以外にも収入があることが、 会社に分かってしまいます。

では、それを会社にわからないようにするのはどうしたら良いのでしょうか。

 

普通徴収

住民税には、普通徴収という収め方があります。

確定申告用紙に
「住民税は自分で支払います」という項目がありそれに◯を書いて提出します。

つまりこれは、
「住民税をまとめて会社に払ってもらうか、自分で払うか」
を選択できるということです。

これで、住民税の通知が会社ではなくあなたの自宅に来るので安心・・・
というわけにも行きません。

適切な処理に間違いはないのですが、これだけでは安心できないのです。

なんと、
役所の方がそれを無視して会社に通知を出したりする・・・
という事が起こりうるのです。

おそらくこの問題は、役所側としては「会社からまとめて徴収する」ことが基本的な処理なので、イレギュラーなことはしたくないということから、個人に納付を任せると、滞納する可能性もあるというおそれから会社に通知が行くこともあるようです。

従って、確定申告の時に
申告用紙に「住民税は自分で支払います」に、しっかり丸をしてのちに「会社に送らないでください」という旨をしっかり役所に連絡する必要
があります。

申告の際はあなたのお住いの区役所・市役所・町役場の「税務課」に連絡して、この旨を伝えてください。

 

仮想通貨の取引で収益が上がった場合も同じで、役所側で、上記の処理が適切に行われれば、自宅に支払い用紙が送られてきます。

この用紙を持ってコンビニ等で支払うようにすると、会社の方には給与所得の分の住民税しか請求が行かないようになります。

 

手順をまとめると、

  1. 確定申告用紙に「住民税は自分で支払います」に◯をして提出する。
  2. 提出後、お住いの区役所・市役所・町役場の「税務課」に上記の旨を連絡する。
  3. 納付日が近づいてきたら再度、「税務課」に連絡する。
  4. 役所で適切な処理が行われれば、自宅に住民税の支払い用紙が送られる。
  5. コンビニなどで支払いを完了すれば、会社には給与所得分の住民税しか請求が行かないようになります。

 

日本の仮想通貨に対する今後の動き

仮想通貨のこれから

仮想通貨の税金に関するお話をしましたが、まだ法整備も十分整っていない状況です。
ただ、世界的にみると日本の法整備は進んでおり、仮想通貨先進国でもあります。

特に、金融庁が仮想通貨市場に対して監視と育成を目指しています。

2018年は、日本国内のほとんどの取引所に多く行政処分が入りましたよね。

また、海外の取引所も日本人向けにサービスを展開する場合、金融庁の認可が必要になっています。

従って、2018年には日本から撤退した取引所もいくつか(Kraken、KuCoin、HitBTC等)ありましたよね。

 

つまり、日本という国自体がこの仮想通貨の広がりを無視できなくなっているんですね。

通貨というものはそもそも、国単位で発行するものです。
対して仮想通貨は発行主体がなく、国の手がかかっていません。

そういった通貨が流行すると、経済が破綻する可能性があるのではないか?
という声もあり、仮想通貨を通貨としての信用性を認めない声も多数ありました。

しかし現在、御存知の通り、仮想通貨の動向は無視できないものとなっています。

それゆえ、金融庁すらも「国内の仮想通貨取引所を審査し、認可を進める」方針で動いているということです。

 

今後の展開は?

有識者の今後の見解では、今まで国が仮想通貨に対して野放しな管理だった分、今後多くの規制や法律が整備されてくるといいます。

FXを例に上げると、
FXが日本で始まってから 10 年間は分離課税ではなく、累進課税という扱いでした。
つまり、現在の仮想通貨収益と同じ「雑所得」扱いです。

しかし、現在はFX・株ともに法整備が整い、決まった税率が施行されています。
このように仮想通貨に対しても、今後多くの規制や法律が整備されてくるでしょう。

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